この手当てで、朝までに熱は完全に下がった。念のため、りんごの葛練を作って、お腹の調子を整える。子供は、この甘酸っぱいりんごの葛練が大変気に入っているようだ。
「これこれ、ぼく、これが食べたかったんだよ」
そんな子供の様子を見ていて、ふと私が小さかった時のことを思い出す。
愛知の実家にいる母は、私が風邪をひくと必ず、りんごとにんじんをすりおろした物を食べさせてくれた。何か特別な行事みたいで、子供心にわくわくしていたことを、今でもはっきりと覚えている。
マクロビオティック、食養手当てなどと難しい名前で通常呼ばれることが多いが、これらの手当ては誰かが考案した特別な技術ではないと私は思う。
薬などなかった時代より、おばあちゃんから母へ、母から子へ、子から孫へと脈々と受け継がれてきた「おばあちゃんの知恵」「母親の愛情」そのものではないだろうか。
いつのころからだろう。これらの手当てが、薬という便利な物に変わってしまったのは・・・。
子供は特に敏感である。市販の薬と、手間のかかるこのような手当てとに、どちらにより深く愛情を感じるのだろうか。
・・・特別な知識なんてなくたっていい。お腹が痛ければ、やさしく手を当ててさすってあげるだけで、痛みは確実に和らぐ。
整体師という、技術を要求される仕事をして、改めて親の愛情の偉大さを痛感する。
私が保育士をしていた時、子供たちから、「お母さんは私が風邪をひくと急に優しくなる」などという笑い話をよく聞いた。
身体が風邪を必要としている時に風邪をひく(だから症状だけを薬で押さえないほうがいい)、というのは、多くの整体師達の定説であるが、もしかしたら、「心」がもう少し甘えていたい時にも、人は風邪をひいて癒しを求めるのかもしれない。
今まで、急ぎ足で豊かさ・便利さ・簡単さを追い求めてきた。でも、これからは少し歩調をゆっくりにしてもいいと思う。そうすると今まで見落としていた小さな事がいっぱい見えてくる。
そんな小さなかけらの一つ一つを大切に拾い集め、「幸せ」と呼べる時代がすぐそこまで来ていると、私は信じたい。・・・ありがとう
和(なごみ)HPへ http://www.i-cot.com/nagomi/
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