2006年01月16日

手当て

5歳になる子供が久しぶりに高熱を出した。子供の発熱時の食養手当て・りんごジュースに大根おろし汁と玄米スープを混ぜた物を飲ませ、後頭部やのどにしょうが油を塗って様子を見る。
この手当てで、朝までに熱は完全に下がった。念のため、りんごの葛練を作って、お腹の調子を整える。子供は、この甘酸っぱいりんごの葛練が大変気に入っているようだ。

「これこれ、ぼく、これが食べたかったんだよ」

そんな子供の様子を見ていて、ふと私が小さかった時のことを思い出す。
愛知の実家にいる母は、私が風邪をひくと必ず、りんごとにんじんをすりおろした物を食べさせてくれた。何か特別な行事みたいで、子供心にわくわくしていたことを、今でもはっきりと覚えている。

マクロビオティック、食養手当てなどと難しい名前で通常呼ばれることが多いが、これらの手当ては誰かが考案した特別な技術ではないと私は思う。
薬などなかった時代より、おばあちゃんから母へ、母から子へ、子から孫へと脈々と受け継がれてきた「おばあちゃんの知恵」「母親の愛情」そのものではないだろうか。

いつのころからだろう。これらの手当てが、薬という便利な物に変わってしまったのは・・・。

子供は特に敏感である。市販の薬と、手間のかかるこのような手当てとに、どちらにより深く愛情を感じるのだろうか。
・・・特別な知識なんてなくたっていい。お腹が痛ければ、やさしく手を当ててさすってあげるだけで、痛みは確実に和らぐ。
整体師という、技術を要求される仕事をして、改めて親の愛情の偉大さを痛感する。

私が保育士をしていた時、子供たちから、「お母さんは私が風邪をひくと急に優しくなる」などという笑い話をよく聞いた。
身体が風邪を必要としている時に風邪をひく(だから症状だけを薬で押さえないほうがいい)、というのは、多くの整体師達の定説であるが、もしかしたら、「心」がもう少し甘えていたい時にも、人は風邪をひいて癒しを求めるのかもしれない。

今まで、急ぎ足で豊かさ・便利さ・簡単さを追い求めてきた。でも、これからは少し歩調をゆっくりにしてもいいと思う。そうすると今まで見落としていた小さな事がいっぱい見えてくる。
そんな小さなかけらの一つ一つを大切に拾い集め、「幸せ」と呼べる時代がすぐそこまで来ていると、私は信じたい。・・・ありがとう


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2005年08月25日

半農半整体師A

自分は半農半整体師である、と前号に書いた。多くの反響を頂き、私たちと同じ様に、食や農を重視する医者や整体師が多いことに、あらためて驚かされている。
が、よく考えれば当たり前なのかもしれない。食を抜きにして健康は語れない。人を良くすると書いて「食」と読む。西洋薬にしても漢方薬にしても、毎日の食事に比べたら量はごくわずか。食を正すことにかなうはずがない。

むろん、手っ取り早く健康食品を勧める整体師も多い。しかし、私たちと同じ様に食の西洋化を危惧し、マクロビオティックや千坂式健康法を採り入れている人はかなりいる。
そして「食」を追求していると農業にたどり着く。

先日、人に紹介してもらい、静岡で自然農と鍼灸師をしている一家に会いに行った。私と同い年で、古民家に4歳と、5ヶ月の子の四人で暮らしている。田畑は私たちと同じ自然農である。無肥料無農薬、不耕起(耕さない)、草生栽培(草を適度に生やす)のこの農法は自然に最も則した農法だと思う。

二人とも農家の出ではない。鍼灸の勉強をしているうち、あるいは保育士として子どもとかかわっているうちにいつのまにか自然の中で農業に携わっていたと言う。
看板も無い山の中の一軒家。治療院としては決して便利な場所ではない。でも本当に二人とも生き生きとしている。

「自分たちが楽しんで生きている姿を見ているのって、子どもはうれしいと思う。自宅を治療院にしたのも、3食を通して子どもとの団欒の場にしたいから。患者さんが、治療後お茶を飲みながら「楽になった、ありがとう」などと話していると、こちらまで元気になる。そんな姿を子どもはきちんと見ている。そう出来ている事を自分たちは誇りに思う。」
「自分から声を出して訴えたくないの。がんばって強く生きるより慎ましやかに暮らして、まわりの人が「あら、楽しそうに仲良く暮らして幸せそうね」と思ってくれれば一番。こんな暮らし方をする事が、自分たちの存在理由かなって・・・」

二人ともごく自然体にこの生き方をしている。
お二人に出会えて本当に良かった。自分たちも肩の力を抜いて、今一度、初心に返りたいと思う。和(なごみ)は単なる施術の場ではない。赤ちゃんからお母さん、お年寄り、いろいろな世代の人々が集い、語り合い、またなんとなくお茶のみにでも来たくなるような「和みの場所」を家族で作っていきたいと思う。そして子どもに、いろいろな人々に、人と触れ合うことの楽しさを伝えていきたいと思う。・・・ありがとう
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2005年06月25日

半農半整体師@

自分は半農半整体師である。久しぶりに青年農業仲間達と懇談する機会があった。酪農家の友人に、現代と昔の酪農の一番の相違点を聞いた。ホルモン剤の発達による、妊娠期の搾乳中断の解消だろうとの事。母乳が出ている間は妊娠しないというのは自然の摂理のはずだが、現在の牛乳の80%以上が妊娠牛から搾乳されているそうだ。

母牛は出産後、直ちに子から引き離される(当然子牛は母乳を飲めない。代替乳が問題になっているBSE事件は記憶に新しい)。その後、発情剤と排卵誘発剤、人工授精により妊娠するが、器械による搾乳と女性ホルモンの大量投与により、妊娠中もそのまま乳は出続けるという。妊娠すると、胎児を維持するために、血中の卵胞ホルモン(エストロゲン)濃度と黄体ホルモン(プロゲステロン)濃度が高くなる。したがって、妊娠中の乳牛から搾った牛乳には通常期の3倍から10倍のこれら女性ホルモンが含まれている事は分析により明らかになっている。特に牛乳をよく飲んでいる前思春期の子ども達に、悪影響は無いのか(本来、女性ホルモンは必要ない時期のはず)。

保育園や学校での給食をここでとやかく言うつもりは無い。カルシウム不足を少しでも補いたいという善意からの事であろう。(ただし、動物性のものをほとんど食べなかった昔ならともかく、現在の食では牛乳を飲めば飲むほど骨が脆くなるのは、整体師なら経験で当たり前に知っている事実である。せめてご飯食の時はお茶に出来ないものか・・・)

断っておくがこの友人が安全をないがしろにしているわけではない。出来る限りの安全を追求している好青年である。彼でさえ生活する為にこうせざるを得ないのだ。
牛乳だけならまだいい。友人には悪いが飲まなければ良いだけのことである。しかし食全体が、農そのものが、何かおかしい。不自然な交配、遺伝子組み替え、クローン技術・・・。安全か安全でないかの論議の前に、食とは、農とは、命そのものではないのか!化学技術ではなく自然への畏敬の上に成り立つのではないのか!

先日、知人に招かれ、お田植え祭に行ってきた。御供え物をし、地の神・天の神に祈り、感謝し・・・。ああ、昔はこうだったのだ。当たり前の、自然への、神への畏敬の念だ。そしてその命を敬って「いただきます」なのだ。
すべてを昔に戻せ、とは言わない。でも決して無くしてはいけない昔もある。食は命そのものである。

今、食と農は、大きな変革期にあると思う。だが、このような農の問題を農家の人達だけに押し付けるのは酷ではなかろうか。政治家に解決を求めるのも論外である。唯一望みを託すのならば、消費者の、皆さん生活者の声である。
シュタイナーは言った。5分先と500年先を見よと。今を生きるために、そして未来の子供達のために。今の食の現状を嘆くだけなら容認するのと同じです。声を挙げてください。行動を起こしてください。子どもに食の、命の大切さを伝えてください。この命の灯火を消さないために。皆さんの一人一人の「声」を切に願う。・・・ありがとう

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2005年05月25日

はじめに・・・身体と心のつながり

整体師になって2年と半。最初の頃は霧中。そして、治せず落ちこんだ時期もあり、初心に返って学びなおし、数多の御縁があり、感動があり、そして今は人体のすばらしさ・不思議さにただただ圧倒されつづけている。整体師仲間より最近、相継いで2つの似通った症例を聞いた。

依頼人は20代女性。閉店間際だったが、余りに疲れた顔色に、整体師のSさんは「15分でいいなら」と引受けた。首筋と肩に触れたSさんはびっくり。鉄板のように冷たく硬く、左耳下腺リンパは骨状に隆起している。女性は最近リフレクソロジーの仕事を始めたという。緊張して失敗の連続、自分が嫌で情けないと嘆く女性。Sさんは思わず言った。「あなたはすばらしい人だ、こんなに疲れていても人の為に尽くし、気遣っている。本当に良い所だらけの人だ」等。女性は苦笑し、「私はこのままで良いの?その言葉で気が楽になりました。ありがとう」その瞬間、体はほぐれ、骨状隆起も消えたという。

もう一人、自分にストレスは無いと豪語する50代男性。2ヶ月前から首に強い張りと痛みがある。身体的な異常は見当たらない。雑談の中で、「一人娘が2ヶ月前にやっと嫁いでくれた。肩の荷が取れてうれしい」。問診したK整体師は「本当にうれしい事ですね。でも家族が離れるというのはすごいストレスなのですよ。その事を認識してください。「心のわだかまり」にそっと目を向けてあげて下さい」。その日は問診のみ。3日後、再診時には症状は完全に消えていたという。

師の言葉を思い出す。「ひどいですね、これは大変だ」は禁句。後、どんな神業でも治らない。でも「よく我慢しましたね。大丈夫、良くなりますよ」この言葉で7割は治っていると。
この2つの症例を今一度我が戒めとし、体と心の繋がり、言葉の持つ力を改めてかみ締めたい。・・・ありがとう

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